モーパッサン「69」

« 69 », 1877



(*翻訳者 足立 和彦)

「69」 解説 1881年、ベルギーの出版社キステメケールより刊行された『十九世紀の新サチュロス高踏派詩集』Le Nouveau Parnasse satyrique du Dix-neuvième siècle に収録されたエロチックな詩篇。「ひげの女」「我が泉」と共に掲載されている。
 アレクサンドラン(12音節)、全28行からなる。平韻、交韻、抱擁韻が混在している。
 手稿が存在し、そこには冒頭に「レアリストのグループの我が友人たちに、この詩を捧げる」、末尾には、1877年2月27日の日付と、「GV、唯一の理想主義者!」と書かれている。G. V. は 当時使用していた Guy de Valmont の筆名。
 エマニュエル・ヴァンサンは「ひげの女」 を契機に出会った女優シュザンヌ・ラジエの存在が、この詩の着想の基にあったのではないかと推測している。



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69


やあ、太った〈娼婦〉、その幅広の排水溝は
三代にわたって射精させてきたし
その年老いた手は、星空にある金の星よりも
たくさんの睾丸をいじくり回した!
僕は好きだ、お前の大きな乳房、太い尻、太った腹、
真ん中のへそは、洞窟のように暗く穴が開いていて
そこに時の埃がため込まれている。
お前の肌は黒く膨らみ、革袋のよう
陰茎の大群が精液を注入したので
その粘りがお前のわき腹から染み出している!

さあ、腿を洗ったりせずにお前のベッドに上がろう。
お前の子宮の満ち潮など恐れはしない。
お願いだ、僕たちはシックスナインをしよう!
卵の匂いを嗅ぐように、僕は感じたいのだ
古い小便のきつい匂いと一緒に、
お前の性器のよだれが、僕の喉を通ってゆくのを。
一方で、お前の巨大で真っ赤な肛門は
密かなおならで僕の鼻孔を楽しませる!
僕は井戸の底までは降りて行かないだろう。
でも僕は、ハミングするお前の腹を抱き締めながら、
二重の水門で、お前の快楽を飲み干したい
酔っぱらいが樽の膣から飲むように!
とても古いワインは、いつでも一層味わい深い!
そして排水溝の穴に似た、味噌っ歯のお前の口よ、
梁のように太くて硬い僕のペニスを取れ。
神経質な鬼頭の周囲にお前の歯茎を這わせよ!
お望みなら、尻に二本の指を入れてくれ!
お願いだから、精液が飛び出す時に、吐き出さないでくれ!


Le Nouveau Parnasse satyrique du Dix-neuvième siècle, Bruxelles, Kistemaeckers, 1881, p. 136.
Guy de Maupassant, Des vers et autres poèmes, éd. Emmanuel Vincent, Publications de l'université de Rouen, 2001, p. 236.




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